欲求志向の介護 ・・・・・ 施設長 淡路由紀子
2021年5月10日

新バーションの母の欲求志向を介護するって、ハードル高すぎ。

「おばーちゃん!それはアブナイゆうてるやろ!」 「あ〜、またお母さんに電話するゆうのやろ。
ふん! ワタシかて云いたいことあるわ。」

母を介護しているといっても土日以外の日中は、私は仕事で不在にしている。何か起きれば、いや起きなくとも常に私のケイタイが鳴る。
それは息子だったり母だったりする。
体の衰えや思考回路がショートしている母を、
家族全員が24時間理解した上でサポートすることを目指していたが、ゴールは遠く見えない。

まず、衣食住の介助をさせてもらえるまでが長かった。
ようやく双方が平常心で向き合えるようになり、このことに私はけっこう満足していた。これはほんの始まりだったとは。
もともと母は、家事をこなしながら趣味やボランティアに時間をさき、ともだちづきあいも良くとても活動的であった。今はその感覚だけが母の体に残り、実行させる能力はほとんど喪失している。母がしようとすることは、見ていて危険を伴ったり、後でナンギな結果になることが多い。
だからどうしても待ったをかけたくなる。
母の好奇心から来る行動は、衣食住の上にある欲求志向に過ぎないのだが、この部分をサポートするのは未踏である。母がまだ母だった頃はしていたように思うが、新バージョンの母に至ってはハードルが高い。
仕事を持ちながら介護にあたるとき、家庭の中だけではまかなえきれないのが実情だ。
ひるがえってグレイスヴィルまいづるのケアについて考える。
開設当初は介護保険の認定調査を元に人物像を想像し、日常生活を整えるために必要なサポートを考えることから始まった。現在は入居後のようすから、観察と提供を繰り返し、ひとりひとりの自由と気ままさを大切にしている。
家庭で毎日これはむずかしい。