初めての119番 ・・・・・ 施設長 淡路由紀子
2021年6月30日

母と救急車で向かった先にあるものは、人生を大きく変えていった。

深夜トイレに行こうとする母のようすが変だ。どこかいつもと違う。立つことをあきらめているようだ。日増しに弱っていく母の介助をしているとはいえ、活発で行動的な母から離れられない自分がいる。異変を前にしても、 「こんなことで負けないで!」と、悔しい思いをするのはそういことだろう。いや、ほんとうは大変な事が起きているのかも。
判断できない自分に少し狼狽し、救急病院に連れて行かなければと思う自分も、どこか遠くにいるような感覚だった。
看護師の妹を頼り電話をすると、「病院に連絡したほうがいいよ。」と言われた。孤独な気持ちをかかえながら、医療センターに電話を入れ母の症状を説明する。
「とても心配な症状です。
すぐ救急車を呼んでください。」
指示をしてもらえたおかげでシャキッとなれた。 救急車が来るぞー!家中にふれ回り夫と息子に準備してもらった。それからはサクサクと事が進み、母と一緒に救急車に乗り込み病院を目指すのみ。しかし私は尋常ではなかったのだろう。
到着するまでの間、サイレンの音はまったく聞こえていなかった。ずっと母に話しかけていた。そうすることで母を留まらせたかった。
病院にやってきた妹はムカつくほど平常だったが、彼女が家族でいてくれて本当によかった。これからはもっと頼ろう。 検査を待つ間、母はきっと脳梗塞だろうと思った。医師からMRI画像を見せられ、白くなった部分が今日起きたばかりの脳梗塞だと説明 された。すぐ治療にかかるとのこと。しかし、このMRI画像に愕然となった。
脳が半分くらいではないか。初めての119番でわかったこと。 「アルツハイマー型認知症です。」 「・・・・・・・・・・・。」